数字の操作
「B・ペレンス、ドメインパーキングサービスを提供開始--IISのシェア増加を阻止へ」(CNet)
NetCraft というのは、インターネットの市場調査などをやっているところですが、仕事上こういう市場調査の数字を見ることはよくあります。まあ、こういう数字だけですべてがわかるというものでもないわけですが、ある程度の判断材料にはなりますし、何しろ第三者を説得する材料として有効です。
上記の件は、こうした市場調査の数字が、大手レジストラのシステム切り替え・・・具体的には、 Go Daddy がサーバーを Windows に切り替えた・・・によって、上記の数字が「表面的に変化した」(パーキングサービスを運用するペレンス氏)ことに対抗するための措置、ということです。この数字は、以下で参照できますが、たしかにIISの数字が500万件分増えています。
この記事を読んで、「そうか NetCraft で IIS の数字が上がったのは、ウソっぱちで、あまりアテにしちゃいけないんだ」と思った人は、どこかで壷を買わされるかもしれません。ここでも「事実を読み取る練習」をしてみましょう。
まず、わかることは NetCraft の数字が、こうしたサービスによって変化するものだということです。Apache は引き続きダントツでトップにいるわけですが、たとえば大量にパーキングされているであろう mydomain.com なども Apache/Linux で運用されているようなので、こうした数字が含まれているのでしょう。ここに出ている優位の数字も、実はペレンス氏がいう「表面的なもの」かもしれないわけです。
もうひとつの事実は、トップレジストラの Go Daddy が、実際にサーバーを変更したということです。Go Daddy は、もっとも成長著しいレジストラであり、昨年は Network Solutions を抜いてトップの座に立ったところです。そもそも“お金を払ってドメインを移行させている”というペレンス氏の発言が、「ウラ」が取れた事実なのかどうかは記事から読み取ることができませんが、Go Daddy にとってはリスクを犯して決めたことではないでしょう(そんなことをしたら自社の成長に水をさすことになりますからね)。実は、「NetCraft の数字」よりも、こうした「インターネットビジネスにおける大手の決断」が、市場(あるいは企業の意思決定者)に影響を与えるかもしれません。
おまけの事実として、提供されているパーキングサービス(OpenSourceParking.com)が、まったく魅力的なものではないということです。ネームサーバーを設定しろというだけで、mydomain のように自分の好きな場所へリダイレクトしたり、ドメイン アフィリエイトサービスにリンクすることもできません。得られるものは自分のドメインを OpenSourceParking の指定するページにリンクさせるということだけです。こんなところにパーキングしようというのは、限られた物好きだけでしょう。
OpenSourceParking.com が目指す効果(NetCraft の Apache の数字を上げること)は、おそらく mydomain へ誘導することでも得られるはずなのに、わざわざ魅力のないサイトを作って誘導をアピールしているのは、まず「ユニークであるというニュース性」を優先したためでしょう。言うまでもありませんが、こんな活動によって NetCraft の数字に影響を与えられる何百万ものドメインがパーキングされることはないと断言できます(そもそも、そんな対応力を OpenSourceParking が持っているとも思えない)。あるサイトにどれだけのドメインを抱えているかは domaintools.com で調べることができますから、いずれ思い出したら調べてみましょう。