「P2P は有用」を Winny 擁護に使うのはやめてくれ
高木浩光氏のエントリ「
「不 当 判 決」 村井証人証言は僕ら技術者を幸せにしたか」を見ておどろいた。Winny 裁判の判決要旨が引用されているのだが、そこには、
WinnyはP2P型ファイル共有ソフトであり,被告人自身が述べるところや村井供述等からも明らかなように,それ自体はセンターサーバーを必要としないP2P技術の一つとしてさまざまな分野に応用可能で有意義なものであって,被告人がいかなる目的の下に開発したかにかかわらず,技術それ自体は価値中立的であること・・・
とある。もし、被告だけが「有意義」だと訴えていたら、自己保身に過ぎないと一蹴されていただろう。だが、
その世界の権威である村井氏の供述により、(P2P ではなく)Winny そのものが有意義だと認められたということのようだ。住基ネットについての池田氏エントリ「
住基ネットという非問題」で、「・・・システムの中身も知らないで「住基ネットは国民を裸で立たせるものだ」などとヒステリックに騒ぎ・・・」と書かれていたのを思い出す。“識者”が、自ら使いもしないソフトの「有意義さ」を主張するあまり、「著作権侵害助長の意図はない」のに(検察の言い分をある程度認めるため?)有罪という中途半端な判決が下されてしまったように見える。
高木氏が指摘するとおり「Winny は悪意によって開発されたものであり、有罪である」という判断であったなら、善意の開発者は何も萎縮する理由がない。これまで開発者が有罪になったのは FLMASK と Winny だけだ。FLMASK 事件によって「イメージ加工ソフト」ツールの進化が止まったなどという認識は誰も持っていないだろう。あるいは、excite のキャッシュサーバーが国内にあったからといって、警察がこれを摘発しようとしただろうか。ありもしない「警察の暴挙」を植えつけて、善意の開発者を萎縮させないでほしい。
何度も繰り返しているが、「47氏」を金子氏ではないと本気で信じている人がいるのだろうか。47氏の発言は明らかに著作権侵害の助長を意図している(これを認めると民事裁判で大いに不利になるので、裁判長が配慮した可能性もあるんじゃないかと思うくらいだ)。47氏発言が「証拠能力」として採用できず、無罪になるなら、それは「仕方がないこと」である。だが、この意図を知った警察が金子氏を逮捕するのは当然のことだ。もう、技術を理解(しようと)せずに P2P の有用性を Winny に当てはめるのはやめてほしい。善意の技術者を萎縮させているのでは、警察ではない。ねじまがった識者の意見だ。
※やみくもに警察の肩を持っているわけではない。こんな方針には大反対である。
→ 「
疋田さんの訴えと、それを受けた高千穂遙さんの意見」