動画投稿サイトと JASRAC の包括契約にシンクロ権は含まれるのか
※重要な注意。末尾に訂正あり。
動画と音楽とを「連動」させるのはシンクロ権と呼ばれていて、これは(著作財産権ではなく)著作者人格権に属するといわれている。
こちらの著作者人格権の説明にある「シンクロナイゼーションへの配慮」によれば、
日本ではあまり認識されていませんが欧米では当たり前の発想で、テレビ番組等に市販曲が使われることは少なく、ほとんどが作曲かフリーユース音楽です。
とある。とはいえ、日本でもドラマやニュースのテーマ曲に使われるような場合は、(たとえ自分で演奏するのだとしても)JASRAC を通じた許諾だけでなく、著作者に許諾を求める(あるいはテーマ曲にすることを前提に楽曲を作ってもらう)のが普通なのではないだろうか。楽曲と、それに関連する(とくに主張を持った)動画を繰り返し使うことは、その楽曲にイメージを植え付けてしまうことになる。たとえば、ベートーベンの『運命』を真摯に曲として鑑賞するよりも、「ジャジャジャジャーン」という部分でギャグシーンを思い浮かべてしまうのは
私だけではない。だからこそ、シンクロ権は著作者人格権なのであろう。
そして、JASRAC に委託されているのは楽曲(曲と詩)の著作財産権であって、著作者人格権ではない。そもそも著作者人格権は譲渡することができない(著作権法第59条)。
JASRAC が許諾できるのは「音楽を音楽として楽しんでもらうための権利」なのであって、本来は動画に紐づけることまでは管轄外だろう。日本のテレビ局が商用楽曲を平気で使っているのは、ただ「なあなあ」なお国柄だからなのであり、だからこそ動画投稿サイトと JASRAC の包括契約も、ある程度は甘受されるだろうと思うのである。
以前のエントリでは、
JASRAC の注意事項を厳密に解釈したら、耳コピのミスですら同一性保持権侵害になりかねないが、そこまで気にしないだろうと書いたけれど、同時に「無茶せず使うべき」とも書いた。いや、それこそアダルトだって、宗教だって、政治だって CGM の要素になりうるけれど(動画投稿サイトの基準に合うかどうかは別にして)、たとえば、楽曲を自分で演奏/歌唱したからといって、特定宗教の宣伝活動のために使う動画の BGM として使うことまでが許されるとは、私には思えない。
このあたりが、「なあなあ」なお国柄の日本だから、なんとなく話を進められたのだとしても、それこそ権利にうるさい欧米にまで持ち込めるという気がしない。そこで、
JASRAC に「もっと頑張れよ」といったって無理なんじゃないだろうか。まあ、そのために“フェアユース”を持ち込もうという話ならわからないでもないが、それこそ欧米では(あるいは米国では)個人動画に商用楽曲をあてることはフェアユースとして認められているのだろうか(ジョージルーカス(スターウォーズ)のように、大御所の一言で許諾されているようなケースは別)。
※2008.4.11、追記。
すみません、間違いです。 JASRAC の FAQ によれば、
JASRAC が管理する日本の楽曲についてはシンクロ許諾が得られることになっています。おそらく冒頭に引用したとおり、「日本ではあまり認識されていない」(たぶん歴史的経緯)ことで、シンクロ権までが包括許諾に含まれるということなのでしょう。逆に、「当たり前の発想」である欧米では、やすやすとは許諾されないということなのでしょう。
※2008.4.15、追記。↑この FAQ は、動画投稿サイトには関係ないそうです。→
http://domainfan.com/CS/blogs/mohno/archive/2008/04/15/1845.aspx