A社に何が起きたのか?
小倉弁護士の「
入手経路不明な他人のID・パスワードの新たな活用方法」というエントリは興味深いのだが、はっきりいって、これだけだと何が起きたのかわかりにくい。説明が下手なんじゃなくて、立場上はっきり説明できないということなのかもしれないが。まず、どこまでが「客観的に証明された事実」であるのだろうか。とりあえず、書かれている内容を整理してみよう(わかりにくいのでドメイン名には .com を付けた)。
まず、小倉弁護士のクライアントはA社であり、A社は b.com と f.com というドメインを所有している。また、E社は f.com についてA社にドメイン名紛争をしかけている。ここまでは客観的な事実と推測できる。さて、C社はドメイン取得代行業者と書かれているのだが、レジストラ(ドメイン登録業者)ではなく、そのリセラーということなのだろうか(それを代行業者とは普通言わないが)。
ここには、「厦門にあるD社からID/パスワードを購入した」ということである(アモイって中国の地名?)。当然ながら、レジストラにしろ、リセラーにしろ
お金を積まれたからって、自分の顧客のID/パスワードを売ることはしない。だから、E社はD社に依頼してC社が管理するID/パスワードをハッキングしてもらった、ということなのだろうか。(入手経路についてD社が回答できないことから推測) 実際、ハッキングを受けてドメインを失ったという例を聞くことはある。最後の一文は、とても具体的な経緯を示しているのだが、これが客観的に証明できるなら「E社の悪意」を提示できるのではないだろうか。それを裁判所が理解しないとは思えないのだが、争っているのは日本の裁判所なんだろうか。E社は NASDAQ 上場企業だそうだけれど。
もうひとつ解せないのは、「A社は,f.com というドメイン名をこのように譲渡していることからも分かるとおり,他人に転売する目的でドメイン名を取得する事業者である。従って,b.com というドメイン名についてもA社は不正な利益を得る目的でこれを取得したことは明らかである」ことを虚偽に示したいのであれば、b.com のID/パスワードなんか要らない。
それらしい適当なドメイン名を登録して、whois の一部をA社に書き換え、F社のサイトにジャンプルするように設定すればよい。つまり、ドメイン b.com について「whois」と「表示されるページ」だけで「A社の悪意」として裁判所に証拠採用してもらえるなら、
同じことはドメイン b.com 以外だってできる。
そう思うと、このエントリには、どこかに小倉弁護士の推測が混じっていたり、証明できない事実(または事実でないこと)が混じっているのではないだろうか。A社にだまされてたりしないよね?