ベータマックス訴訟と録画制限
ダビング10が来月から開始されるらしい。オリンピックを見ないので、オリンピック商戦とやらにも、あまり興味がなかったりするわけだが、それが不発に終わって機器が投げ売り状態になったら手を出すかもしれない。
閑話休題。
録画を厳しく規制しすぎるとコンテンツビジネスが成り立たなくなるという主張の根拠として「ベータマックス訴訟で、コンテンツ側が勝訴していたら、ビデオ販売の市場はなかった」と言われることがある。この一文に限れば事実だが、一般にコンテンツビジネスに必要なものとは何だろう。
答えは「再生装置(プレーヤー)」である。まあ「書籍」というコンテンツに、プレーヤーは要らないけど、一般のコンテンツビジネスにとって「記録装置(レコーダー)」は“必要なもの”ではない。ベータマックス訴訟の結果がコンテンツビジネスに結びついたのは、「録画できるという魅力が、ベータマックス(というプレーヤー)の普及に貢献した」からである。
実際、ビデオを受け継いだ DVD は、登場してからかなり長い間再生専用のメディアだった。私の記憶が確かなら、その普及に貢献したのは PlayStation 2 というゲーム機である。ゲーム機の魅力(DVD が再生できるという魅力も含めて、であるが)が、DVD の再生環境の広がりをもたらし、DVD の市場を築いたのである。そもそも、レコードだって、CD だって、再生専用のメディアである。かつてカセットテープや MD が記録用に普及したが、これらに向けたコンテンツビジネス市場がそれほど大きかったとは思えない。
だから、コンテンツビジネス側にとっては、プレーヤーさえ普及してくれれば、録画できなくたって何の問題もない。blu-ray にしたって、安価プレーヤーが普及してくれるなら、レコーダーなんて普及してもらわなくたっていい、と思っているだろう。
とはいえ、DVD レコーダーの利便性を知った消費者(DVR-1000 を買った私は筆頭ね)が、そんなに甘っちょろい判断をするわけもなく、「blu-ray にするならレコーダーとしての機能も」と思っても不思議はない(PlayStation 3 で blu-ray が普及の起爆剤にならなかったのは、そのせいか?)。
さて、コピーワンスだのダビング10だのと言われているが、かねて不思議だったのは「どうしてコンテンツごとに切り替えられるようにしないのか」ということだ。放送波に、「ネバーコピー」「コピーワンス」「フリーコピー」という信号を入れて切り替えるなんてことは今どき難しくないだろう。まあ、映画は「コピーワンス」が求められるかもしれないが、ニュースなんかはネット配信している例もあるわけで「フリーコピー」にするとか。
だが、そうしてしまうと、ほとんどのコンテンツが「ネバーコピー」(一番制限の厳しい設定)を選択してしまいそうだ。コピーの自由度が高い方がプレーヤー兼レコーダーの普及促進に役立つが、それは「他のコンテンツ」でやってほしいと思うだろう。ビジネスの可能性を残しておくなら、自分のコンテンツはコピーなんかさせない方がよいわけだから。映画とか「ネバーコピーに設定したら放送権料を割り引くよ」なんて言われかねない。リアルタイム視聴こそが収入源のテレビ局は、喜んで受け入れちゃうだろう。
だから、権利者(団体)がまとまって「どこまでコピーを認めるか」って話をするわけか、と理解した次第。