誹謗中傷する当事者の責任を問えれば、実名制は必要ないの?
小倉秀夫氏が「
マジコン問題は違法複製問題ではない」というエントリを書かれている。ネット上で聞いてはいたものの、「マジコン」という言葉を息子から聞いたのはもう1年以上前だと思う。どうやらマジコンを使っているらしい子供がいるのだが、その親が色々ゲームをダウンロードして使わせているらしい。間接的にしか聞いていないのだけど、少なくとも「マジコンってオリジナルのゲームが遊べるんだって」という類の話を聞くことはない。ネット上でも普通に市販ソフトの複製ツールと認識されているようであるし、マジコン需要を支えている大半は違法複製であるとしか思えない。少なくとも、これを否定する根拠は小倉氏からは示されていない。そもそも
小倉氏にどんなソフトがあるのか尋ねたときでさえ、具体的なソフト名についてのお答えはなく、「ゲームラボを見て」と
言われただけだった。その小倉氏に「マジコン問題は違法複製問題ではない」と言われても、根拠あるのかな、と思わざるを得ない。
さて、その小倉氏は、こう続けている。
アップロードサイトのドメイン保有者≒開設者の住所・氏名がwhoisデータベースにより入手できることを示し、違法複製物の流通を問題とするのであればマジコン自体を規制する必要はないことを示してきました
ふーん。
この理屈なら、誹謗中傷する当事者に関する情報を得ることができれば、小倉氏が日頃主張する実名制の導入など必要ないのではないか? 実際、
プロバイダ責任制限法はその仲介責任をプロバイダに課しているのであり、これで「制度として十分」と言えるはずだ。小倉氏は別エントリのはてなブックマークコメントで、ekken氏が「誹謗中傷されたら訴えれば良いのでは?」と書いているのに対し、
発信者情報開示命令が下りても履行しない掲示板管理者がおり,掲示板管理者からIPアドレスの開示を受けたときにはアクセスログを消去してしまっているアクセスプロバイダがいるのに?
と
返しているのだが、それは
制度を守らない掲示板管理者の問題であり、実名制のように
制度を厳しくすべきだという理由にはならない。制度を守るように訴えればいいのだからね。
だが、本当にそうか? 職業柄、小倉氏は敢えて言及しないのかもしれないが、
民事訴訟を起こすというのはお金がかかるものだ。誰もが切込隊長みたいに裁判を起こせるとは限らない(だから誹謗中傷だって著作権侵害だって、みな警察に頼ろうとするわけだが)。ゲームの違法アップロードについても、仮に違法アップローダーを訴えたところで、損害賠償金よりも弁護士費用が上回るかもしれない。どうせ、別のアップローダーが出てくるかもしれない。だから「モト」を断ちたいと思うのは当然だ。誹謗中傷だって、警察がとりあってくれなければ、自分で裁判を起こすしかないのだが、その費用が負担できなければ泣き寝入りしろということだ。それでいいのか。それではダメだからこそ、その運営に実名制を取り入れよと言っているのではないのか。
どうやら、小倉氏の意見は「マジコン」と「誹謗中傷」で正反対を向いているようなのであるが、それが両方とも自分の依頼人に関わることらしいという意味では、好意的に見れば“
仕事熱心”なのかもしれない。しかし、そういう姿勢は外からは
二枚舌に見えるだけだから、どうしても何か言いたければ、壁に向かってブツブツつぶやいていればよいのではないかな。